勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
頭の中は混乱していて、だけど必死で考えた。
佐和さんとの会話を一字一句思い出しながら、彼がこんなにも不機嫌になる理由を一生懸命考えた。
だけど全くわからなくて、やっぱり込み上げる涙を我慢することしか出来ない情けない自分に唇をギュッと噛んでいた。
「我慢しなくていい。」
俯いたままの私にふわりと触れる佐和さんの手。
頭をくしゃりと撫でられて、驚きに混じっていつもの佐和さんを感じて堪えていた涙が一気に流れ落ちた。
「ごめんな、紫衣。」
私の頭を撫でながら悲しそうに声を掛ける佐和さん。
「どうして?」
ほんの少し安心した私はずっと聞きたかったことを佐和さんに向けた。
「ごめん。」
だけど佐和さんは何も話してくれるつもりはないのか謝るだけで、
「宿まで少し距離があるから寝てろ。」
話を打ち切ってハンドルに手を戻した。
「今から少し山道に入るから寝てないと気分悪くなるだろう?」
信号が青になり車を発進させながら私を見ずに言葉を発する佐和さんに、私は悲しみが一層深くなり窓に寄りかかるようにもたれて瞼を閉じた。
佐和さんをこれ以上不機嫌にしたくないという一心で眠くなんてないけど、寝た振りをしたんだ。