勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
だけど私は車に戻ってきた佐和さんに声を掛けることは出来なくて窓にもたれ掛かったまま動けなかった。
そんな私のシートベルトを外して私の体に覆い被さる佐和さん。
ふわりと鼻を掠める佐和さんの香りと温もり。
そのまま佐和さんに抱きしめられたいと思って彼に腕を伸ばそうとしたけど、
ガコンッ
シートが倒れて私と彼の体の距離が大きくなった。
「まだ少しかかるから寝てろ。」
そう言って体を戻す佐和さん。
彼に触れられなかった腕が寂しくて自分の手でギュッと握りしめた。
「嫌です!」
運転席でエンジンを掛けるために鍵に手を伸ばす佐和さんにギュッと抱きつく私。
我慢なんて出来ないよ。
佐和さんに触れたい。
私を見て。
私を抱きしめて。
私に触れて。
佐和さんの温もりがなきゃ寂しくて悲しくてどうにかなってしまいそうだよ。
「紫衣?」
「嫌わないで佐和さん。」
ずっと見ることが出来なかった佐和さんを正面で捉えて言葉を投げかけた私に伸びてくる佐和さんの腕。
私は彼の腕に引かれて、
「ん…――」
そのまま彼に唇を塞がれた。
触れたかった佐和さん。
触れられたかった佐和さんに…。
だけど突然の口づけに驚いた私は彼の胸を突っぱねるように掌でグイッと押していた。
「紫衣…。」
なのに佐和さんはぴくりとも動かず、それどころか私の後頭部に手が周り逃げられない私にまた佐和さんの口付けが嵐のように降り注いだ。