勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「ん…――ンフッ……」
車の中で聞こえるのは私から漏れる苦しくも甘い吐息だけ。
何も考えられずにクラクラとしている私から佐和さんが離れて視線を窓の外に向けた。
「いい趣味だな。」
息を整えるだけで精一杯な私に聞こえるのは冷静な佐和さんの声。
胸を押さえながら俯いていた顔を上げると窓の外でニヤリと笑う嶋田さんの姿が視界に入った。
も…もしかして見られちゃった?
「ハァー………」
一つため息を吐き出してドアを開けた佐和さん。
「紫衣そのままで…」
ドアを閉める直前に佐和さんに言われて私を車に残したまま彼は滑るように車から降りてドアを閉めた。
甘い口付けの余韻に浸ることなく急な事と恥ずかしさで頭は混乱していて、
「どうして?」
私の唇を割って言葉がポツリと漏れた。