勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
結局何も聞けないまま車は発進し、無言のまま車が止まったのはホテルの駐車場。
自分の荷物と私の荷物を軽々と持った佐和さんに手を引かれ、フロントまで歩いて佐和さんの横で手続きが終わるのを待つ私。
その間も私と佐和さんの間に会話はない。
フロントで受け取った鍵を持って、私の肩を抱いて部屋まで案内してくれる佐和さん。
私はそんな佐和さんに何も言わずに促されるまま部屋に入った。
ホテルの部屋はとても広く、高台に建っているということもあり目の前に広がる景色はとても綺麗だった。
遠くには海も見える。
部屋の内装も薄いピンクを基調とした落ち着いたもので、ベッドが2つ並んで置いてある部屋とオープンに和室もあって和洋折衷の部屋になっていて、2人で泊まるには贅沢なスペースに思えた。
「紫衣、こっちにおいで。」
窓の側にいる私にソッと近付く佐和さんの声に振り返るとギュッと彼の腕の中に閉じ込められるように抱き寄せられた。
「気分は悪くないのか?」
きっと車酔いの心配をしてくれてるんだろうと思い、
「大丈夫です。」
彼の胸に頬を寄せて応える私。
「ここだと誰にも見られないな。」
佐和さんの優しい唇が頬に触れる。
そのまま手を引かれベッドに2人で腰を下ろすと後頭部に佐和さんの手が添えられたと同時に唇を塞がれた。