勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
私の手を握り、ぶんぶんと振りながら言葉を掛ける男性。
全ての言葉を言い終わる前に私達の間に割って入ってくる佐和さん。
「やめろよ!父さん!」
「邪魔をするな佐和。」
「邪魔なのは父さんだろ!」
「そんなことはないはずだ!」
「紫衣が困ってるだろ!
とにかく紫衣から離れろ!」
2人の間に挟まれて軽く揉みくちゃ状態の私は気がつくと佐和さんの腕の中にすっぽりと収まっていた。
まるで状況についていけない私はぽかんと口を開いた間抜けな顔をしていたに違いない。
そんな間抜け面で佐和さんを見上げると、視線を感じたのか佐和さんが私を抱き締める腕に力を入れる。
「とにかく落ち着いてくれよ!
こんな状態じゃ紹介すら出来ないだろ!」
ギュッと私を抱き締めながら佐和さんが言葉を紡ぐ。
「紹介なんぞより食事に誘ってだな…」
「順序があるだろ!」
「まずはお茶がいいのか?
ならカフェに行こう!」
「そうじゃないだろ!
とにかく座れよ!」