勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
そんな噛み合わない2人の会話の間に入るのは綺麗な女性の声で、
「2人とも落ち着きなさい。」
ピシャリと言い放つ言葉にビクリと肩を揺らせば更に佐和さんの腕に力が入った瞬間また佐和さんの唇を割って出たのは大きなため息で、
「仕事中じゃなかったのか?」
扉に背を向けていた佐和さんが振り返りながら言葉を落とす。
その間私は佐和さんの胸に頭を押し付けられるようにして抱き締められているから部屋の状況は全く見えなくて不安に胸が苦しく押し潰されそうだ。
「まぁ座りましょうか。調度お茶がついたようですし。」
声を同時に広がる珈琲の香。
「とにかく先に父さんを座らせてくれ。
じゃないと紫衣を放せない。」