勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
テーブルを挟んで向かい合うのは佐和さんの両親?
私たちの間にあるテーブルには湯気の立ったコーヒーとクッキーが置かれている。
「で、帰ってくるのならどうして連絡をよこさなかったのか説明をしてくれるかしら?」
優雅な動作でカップを持ち上げながら佐和さんに話しかけるのはお母さんだろうか...。
涼しげな目元が佐和さんとそっくりな女性。
「そうだぞ!しかもこんな可愛いお嬢さんを連れて帰ってきて私たちに何の連絡もよこさないなんて一体どういうつもりなんだ!」
立ち上がり鼻息荒く佐和さんを責めるように言葉を放つのが佐和さんのお父さん?
常に冷静な佐和さんとは少しタイプが違うちょっぴり可愛い印象の男性。
「別に帰ってきたわけじゃない。ここは通り道だっただけだ。」
普段の優しい佐和さんとは別人のように鬱陶しそうに応える彼の姿に私は少し驚いた。
佐和さんはご両親と仲が悪いのだろうか...。
「まぁ、それはいいわ。こうして逢えたのだから。」
「可愛いお嬢さんにも逢えたしな。」
「それが一番嫌だったんだよ!」
「どういうことだ?」
「母さんはともかくとして父さんと紫衣を逢わせたくなかったんだよ!」
吐き捨てるような言い方の佐和さんにお母さんはクスクスと小さく笑いを漏らしている。
「私には逢わせたくないとは心外だな。」
憮然とする佐和さんのお父さん。
でもどうして佐和さんは私に何も教えてくれなかったの?
私に至らないところがあるからじゃないかって想いに胸がギュッと苦しくなった。