勝利の女神になりたいのッ!~第2部~


「逢ってしまったんだ。お前が嫌だと言っても逢ってしまったからには...。」


「断る!!」


「まだ何も言ってないじゃないか!」


「父さんの考えていることなんて想像つきすぎて聞くまでもないだろう」


「それより、お嬢さんの紹介をしてくれないかしら?」


言い合いを始める佐和さんとお父さんの間に入るのはお母さんで、


「初めまして、佐和の母の美和です。」


とても奇麗な頬笑みを浮かべながら自己紹介をしてくれた。


「崎山紫衣です」


私もペコリと頭を下げて名前を告げた。


「畏まった紹介なんて紫衣がビックリするだろう。
それでなくても急なことなのに...。」


「あら、それはあなたがいけないんでしょう?
私達を素通りするつもりだったのでしょう?
何も準備できていないのは当然だわ。」


「もっと先でゆっくりと紹介するつもりだったんだよ!」


「それよりもお嬢さんのご両親はあなた達が一緒に旅行をしていることを知っていらっしゃるの?」


「あぁ、出る前に挨拶をしてきた。」


「そう、なら安心だわ。」


「だからまたゆっくりとこっちに帰ってくるから今日はもう帰ってくれ。」


「それはできん!」


「父さんに言ってないだろう!」


佐和さんとご両親の話の展開に私は口を挟めるはずもなく黙ってそのやり取りを見ていた。


だけど佐和さんの口調がお父さんとお母さんとでは全く違っていて、お父さんが会話に入ると途端に佐和さんの機嫌が悪くなるのはどうして?










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