勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「あの...。」
「どうした?」
「いえ..その..」
「どうしたんだい紫衣ちゃん。」
「馴れ馴れしく呼ぶなよ!」
「怒鳴るな!紫衣ちゃんがビックリしているだろう!」
「もう父さんは部屋から出てってくれよ!」
「えっ...佐和さん?....どうして?」
緊迫した空気に居たたまれなくなって言葉を落とすと、
「ビックリさせてごめんなさいね。だけどいつものことなのよ。
喧嘩しているようだけどこれが普通なの、この2人は...」
お母さんの言葉にキョトンとする私にお父さんもニッコリと微笑んでくれた。
喧嘩してるわけじゃない?
でも佐和さんは普段見せないような険しい顔をしてて..
いつもの佐和さんじゃない。
「あまりに性格が違いすぎて..なんていうのかしら、お父さんが佐和よりも子供で兄弟みたいになっちゃってるからいがみ合っているようでも本当は仲がいいのよ。
きっとあなたの前で少し恰好をつけたいんでしょうね。
こんな子供みたいな父親が恥ずかしいって思っているんじゃないかしら。」
「そんな、恥ずかしいなんて..とても素敵なお父さんです。」
佐和さん、そんなことを気にしていたなんて..。
「紫衣、無理しなくていいんだ。騒がしくてビックリしただろう?」
「いいえ、楽しいお父さんでとっても羨ましいです。」
羨ましいのはお父さんと本音をぶつけ合える佐和さんの環境。
私もこれからは両親とそんな風に過ごしたいって思ったから、佐和さんの温かい家族に触れて羨ましくもあり、自分たちだってこれからはという前向きな気持ちになれた。
「ハァ-...そんなこと言ったら父さんが調子に乗るだろ?」
「でもお友達みたいに兄弟みたいに過ごせるなんて素敵です。私もそんな風に両親と過ごしてみたいって思っているから...」