勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「じゃぁ早速レストランの手配をしてくれ。」
「だから一緒に食わないんだって言っただろう!」
「美和、すぐにフロントに確認してくれ。
佐和の言葉は無視していい。
紫衣ちゃんに美味しいものを用意するようにシェフに言っておけ。」
「父さん!!」
「お前は食べないならこなくていい紫衣ちゃんご馳走してあげよう。」
「母さんなんとか言ってくれよ!」
強引なお父さんに困り果てた様子の佐和さん。
お母さんは佐和さんの訴えにクスクスと笑いながら、
「こうなったらお父さんが止まらないっていうことは佐和が一番よく知っているんじゃないの?」
清哉君たちも一緒に来てもらって食事をしましょうと言うと部屋に設置された電話でフロントに指示を出していた。
そして電話が切ってすぐ2人は部屋を出て行った。
まるで台風のような時間。
食事は嶋田さんと芽衣ちゃんも一緒にと言っていたから佐和さんもちょっとは気が紛れるかもしれない。
少し疲れた様子で眉間に皺を寄せる佐和さんの側にソッと近づいて彼の表情を伺う。
「ハァーー……」
ソファーに背を着け、ため息を吐き出す佐和さん。
「佐和さん?…」
彼の名を呼んだまま後の言葉が続かなかった。