勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
電話の相手はやっぱりな嶋田さんで、
「お前のお陰だよ。」
佐和さんはため息混じりに言葉とは裏腹な表情で話をしている。
ご両親には連絡をするつもりがなかったという佐和さん。
だけど嶋田さんのお陰?でご両親と逢うことになり立派なホテルの部屋まで用意してもらった。
「いずれ遅かれ早かれだったから、面倒事は避けたかっただけだ。」
解ってただろうと不機嫌な声を響かせる佐和さん。
嶋田さんの言葉が聞こえないけど佐和さんの言葉だけを聞いていると、ほんのちょっぴり寂しいと感じるのはおかしいのかな?
だけどご両親に紹介したくなかったのかとか、私がご両親に逢うのが面倒だとか、そんな風に思われているのかと後ろ向きな考えばかりが浮かんでぎゅうっと胸が締め付けられるような痛みを感じた。
「あぁ、じゃ後で…。」
俯き悶々と考える私には佐和さんが電話を切ったことも気がつかなかった。
ただただキリキリと痛む胸をぎゅっと押さえて涙を堪えるために唇を噛んでいた。
「自分を傷つけるほど何を我慢してる?」
だから佐和さんの掌に頬を包まれて声を掛けられて、急な事にビックリしたのと彼のぬくもりと彼の優しい声に我慢していた涙がぽろぽろと零れ落ちた。
「紫衣、どうした?」
穏やかないつもの佐和さんの声。
私を一番安心させてくれる優しく響くトーン。
その声と大好きな佐和さんの体温が涙を誘うからどんどん溢れ出る涙をどうにも止められなかった。
「ご…めん…なさ…い……フッ…ヒック…」
困らせてばかりで申し訳ないと伝えたくて謝りたいのに声にならない。
本当に情けない私。
いつも泣いてばかり…
こんなんじゃ面倒だと嫌われちゃうかもしれないのに…