勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「泣くな…」
しゃくりあげる私の頬に唇を寄せて涙を拭ってくれる佐和さん。
「泣かないでくれ…。」
苦しそうに眉を寄せて佐和さんは私を胸に引き寄せてぎゅうっと抱き締めてくれた。
爽やかでほんのり甘い柑橘系の匂い。
大好きな佐和さんの匂いに包まれて私は徐々に落ち着きを取り戻し、涙が止まり掛けた頃
「さて、何を我慢してるのか話してもらおうか。」
優しいけれど威圧的な佐和さんの言葉が落ちてきた。
普段から悶々と考えて1人で落ち込む癖のある私だから、こんな風に佐和さんに問いつめられるのは仕方のないことで、
「あの…、あのね!」
観念した私は重くならないように軽い口調で話を切り出そうとしたけれど
「ん?」
穏やかで優しい彼の相槌に言葉が出なくなった。
結局俯き唇を噛む、最初の状態に逆戻りした私。
どうして、こんなにも涙が出ちゃうんだろう…
泣き顔を見せたくないと思う気持ちが強くて我慢すると、こんな風になっちゃうんだ。
「自分を傷つけてまで我慢したらいけない。
泣きながらでもいい、
感情的に喚いたってもいいんだ。
思ったことを口にしてくれ。」
俯く私を抱き寄せる佐和さん。
ぽふっと彼の胸に収まる私の体をぎゅっと包んでくれるのは力強い彼の腕で、
「話してくれないか?」
片方の手が私の頭を優しく撫でてくれる。