勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
ぎゅうっと抱きしめてくれる佐和さん。
穏やかな時間がゆったりと流れている。
食事の時間までまだ少しあるから佐和さんにいっぱい甘えたい。
そう思って佐和さんの肩にゆったりと体を預けていると、
「ここにいたのか?」
「チッ...」
ふいに後ろから声をかけられた瞬間に誰だかわかったのか佐和さんの舌打ちが聞こえた。
誰?
嶋田さんじゃない。
でも、もしかして...
「父さん、食事時間まで2人にしてくれよ!」
「そんない怒るなよ。佐和」
「怒るさ!」
「しかし、お前はここが好きなんだな。それとも...」
「好きだから紫衣を案内しただけだ!」
「何ムキになってるんだ?」
「なってない!」
「もしかして...」
「父さん!!」
「まぁ、わからないでもないけどな..紫衣ちゃん可愛いし」
「父さん、それ以上言うと...」
「わかった、わかった!」
声を掛けてきたのはお父さんで、私は慌てて立ち上がって挨拶をしようとしたけど2人はドンドン会話を進めてしまってタイミングを逃してしまった。
それに、話の内容がわからなくてきょとんとしていると、
「紫衣、今は挨拶しなくていいよ。父さん2人にしてくれ!」
佐和さんに止められて、おまけに佐和さんはお父さんにとてもきつい口調で邪魔だと言わんばかりに話しかけている。
だけど、ちゃんと挨拶をしたくて仕方ない私は、佐和さんの制止するのをきかずに立ち上がってお父さんに向かい合った。
「今日は、こんな素敵なホテルに泊めていただいて、お食事にまでお誘いいただいてありがとうございます。」
ペコリと頭を下げて挨拶をした。