勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
気が乗らないのに衣装を手にして皆にはわからないように小さくため息を吐き出した。
「殿は今日は紫衣様が一番お好きな着物をお召しになるようです」
スッと音もなく襖が開いて入ってきたのは椿さん。
天の助けとも言える言葉を口にする椿さんに私は目で訴えた。
お願い!!この女中さんたちを部屋から追い出して!!
目は口ほどに者を言うって言葉があるでしょう?
それを期待して視線を送る私。
だけど椿さんの言葉に女中さんたちも負けていない。
「ではお着物に合うように髪を整えましょう」
櫛は簪は?って椿さんの登場で少し静かになっていた部屋がまた騒がしくなった。
もう本当に勘弁してもらいたい!!
「紫衣様の髪飾りもお着物ももう決まっていますよ」
そんな中静かに落とされる椿さんの言葉に、
「はい?」
「....え??」
私と女中さんたちの声が重なった。
「普段から紫衣様のお側に仕えているとどんな物を好まれ何がお似合いになるのかは私どもは把握してなければ側近だとは言えませんからね」
あらら...
椿さん、その言い方は女中さんたちを敵にまわしてしまうのでは?
けれど、心配する私をおいたまま女中さんたちと対峙する椿さん。
「けれど私は普段紫衣様のお召し変えのお手伝いをしております。今日は朱里様がお忙しく紫衣様のお衣装をお選びいただけないので私達が...「その朱里に私は頼まれたのですよ」
普段から私の着替えを手伝ってくれているだけに女中さんは菊さん筆頭に椿さんに全くひるむ様子を見せず言葉を返すと、椿さんはその言葉を遮るように決定打になる言葉を落とした。
困っていたけれど、ぴしゃりと言い放たれた言葉に視線を床に落としてしまった菊さん達を気の毒に思っていると、
「そんなにガッカリしないでくださいよ。私達は衣装の着付けは出来ませんからね」
準備が整ったらまたお呼びしますよって桔梗さんが声を掛けていた。
って...
いつの間に?