勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「今日は、加藤様もいらっしゃいます」
「うん」
「以前のように紫衣に近付けないように今回は警護を増やしているから安心しろ」
「うん」
花饅頭を食べながら桔梗さんと紅葉さんが私に話しかけてくる。
特に以前の宴で私に接触をした清正をよく思っていない紅葉さんはかなりピリピリしているように思う。
「今回、席を立つときは必ず誰かがお前の側にいる様に目を光らせる段取りだ」
「その為に3人とも侍女に扮しているのですからね」
「加藤様が近づく隙など作りませんよ」
ってかなり警戒しているけれど...
「そんなに警戒しなくても、もう私に近づこうなんて思ってないかもしれないじゃない」
そう言って花饅頭を口に運んだ私。
「「「甘い!!」」」
「ぶほっっ!」
3人に一喝されて花饅頭を喉に詰めた。
「いいですか、姫様!」
「本気で言っているのか紫衣?!」
「本当に暢気な紫衣様です」
お説教を始め出す桔梗さんと怒りをあらわにする紅葉さん、そして呆れたように言葉を落とす椿さん。
「ごめんなさい、耳にタコが出来るほど聞きました。シッカリ警戒します。しますから...今の言葉はなかったことにしていただければ..というか聞かなかったことにしてください!!」
反省の言葉を出しながら懇願する私にニッコリ微笑む3人。
「わかっているのならいいんだ」
ってあっさり過ぎてちょっぴり怖いって感じるのは普段こんな風にあっさりと許してもらうことがないからで...
「いやにあっさりしてるけど、何も企んでいないよね?」
人間の習性とは恐ろしいもので、余計なことを口にしてしまう私。
「あっさりが気に入らないのなら普段通りくどくどと説教してやろうか?」
紅葉さんの恐ろしい言葉に私は自分の言葉を深く後悔した。
「いいえ結構です」
焦る私を見て笑う3人。
宴までの時間をゆったりと、けれど注意事項のおさらいをしながら過ごした。