勝利の女神になりたいのッ!~第2部~


「そなたが酒を飲むと重家が酔うとな?」


「はい」


「それはなぜじゃ?」


「母乳で育てていますゆえ、私が口にするものが重家の飲む母乳に影響するからです」


「そんなものなのか?」

「はい、私はそう習いました」


「ほう、誰に?」


「小さい頃、母に聞きました」


「母上は今はどこに?」

「側にはおりません」


「そうじゃな、そなたは左近の養女であろう?」


「はい、ですが母にはたくさん教えてもらいました。側にいなくても母の教えは私の頭の中に全て残されております」


「そうか、それは良い」

「ありがとうございます」


「重家の酔うた姿も見てみたいが、酒はもうよい」


「申し訳ありません」


「よいよい。楽しい話を聞かせてもろうた」


秀吉はとても満足した顔で会話を終わらせて自分の席に戻っていった。


「重家様が酔うなどと、考えましたね姫様」


秀吉が席に戻ったのを確かめてから桔梗さんがコッソリと耳元で楽しそうに囁いた。


きっと桔梗さんも私が秀吉をうまく交わすためにした話だと思ってるのかな?


だけど母親が口にするものが母乳に影響されるって嘘じゃないし!


「本当の話をしただけだよ?」


「はぁ?」


不思議そうな顔をする桔梗さん。


平成の常識は戦国時代には通用しないらしい…









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