勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
その後も宴の席は楽しく愉快な様子で過ごせていた。
秀吉という男は私が歴史で学んだ通り「ひとたらし」という異名を持つことを納得させられる人物だと思った。
真面目で堅物と言われている石田三成とひとたらしと言われる豊臣秀吉。
三成は書籍に書かれる悪いイメージよりは私が描いていた人物像そのもので、秀吉は書籍通りの人柄だと思った。
でも、それは私が秀吉のひとたらしにまんまとかかっていたということを後になって思い知らされることになるんだけど、その時の私は全く気づいてなかったんだ。
皆を楽しませることに専念するかのような秀吉の振る舞いは天下に一番近い男という存在だということを忘れさせる。
とにかく愉快でサービス精神旺盛な秀吉。
宴を余り好まない三成もとても楽しそうで、普段なら絶対に口にしないお酒を口にしていた。
秀吉に勧められれば断るわけにはいかないのかもしれないけど、
「大丈夫かな?」
頬が赤く染まっていて目も潤んでいるけれど...。
一人呟く私に側にいた桔梗さんが話しかけてくれた。
「何を心配されているのですか?」
「三成様が普段口にしないお酒を口にして、心配になったのです」
「それならば私も同様の心配をしています。ですがもう宴もお開きになるでしょう」
「あと少しの辛抱なのですね」
「そうです。後は紫衣様が介抱してあげてください」
ニヤリと笑って話す桔梗さん。
いったい何を想像しているのやら...。
「重家様は私たちが責任を持ってお世話いたしますので」
なんて二人っきりだというところを強調している。
「別に重家がいても介抱くらいできます」
チラリと視線を向けて答えても桔梗さんはニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべていた。