勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
仕方なくという様子で心配そうに私を見つめた後三成を連れて紅葉さんは部屋から出て行った。
不安だけれど仕方がない。
三成の奥方として恥ずかしくない振る舞いともてなしをしなければと気合いを入れて彼らの背中を見送った。
残されたのは私と重家に桔梗さん、椿さんの4人と秀吉と清正。
清正は前回私にこっそりと接触したこともあり、紅葉さんがかなり警戒をしていたこともあり椿さんを専属でつけていたので私とは会話すらしていない。
桔梗さんは忙しく、秀吉と私の側を行ったり来たりしながら目を見張らせていた。
重家のお世話と私にまで目を配るのは三成や紅葉さんがいなくなった今では不可能に近い。
「桔梗さんは重家の事をお願いします」
だから先に桔梗さんには言葉をかけた。
「いいえ、私は紫衣様と重家様のお世話係を命じられています。なので紫衣様のお側を離れるわけにはいきません」
きっぱりと言い切る桔梗さん。
だけど、その桔梗さんの言葉を邪魔するように重家が大きな声で泣き出した。
タイミング的には最悪だけど、きっとおむつが気持ち悪いんだと思う。
「重家をお願い。私は大丈夫だから...」
本当は不安で仕方ない。けれどそんなこといってられない。
三成の代わりにしっかりしなきゃ。
そんな気持ちから桔梗さんに重家を預けて秀吉らの席に向かった。