勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「秀吉様は何故かお前を気に入っている」
「.........」
「気付いていただろう?」
「いいえ...」
気付いていたというか..紅葉さんたちに警戒するようには言われていたけれど。
「まぁいい。今回三成に酒を勧めて酔い潰してしまえば三成は秀吉様に出される難問に首を横に振れなくなるだろう?」
「普段から首を横に振ることなんてしていないと思います」
秀吉を尊敬している三成が逆らうことなんてないでしょうに。
「それがひとつだけあるんだ。」
「それはどういう難問なのですか?」
三成が秀吉に背くなんて考えられないと言うように首を傾げながら質問する私に清正はフッと息を漏らすように笑いながら応えてくれた。
「あんただ」
清正は私を指さしながら言葉を放ち、そのままニヤリと笑った。
「私っ?私が何か...??」
びっくりして声を荒げる私に清正はため息を吐き出しながら言った。
「鈍い女だな...」
私が三成の足をひっぱているってこと?
どんな難問なんだろう?
私が至らないばかりに三成に迷惑を掛けていたんだと思うと涙が滲んできた。
「秀吉様はあんたを気に入っていると言っただろう?」
「はい」
「それに気付いていなかったのか?」
もう一度最初に戻って会話を始める清正。
びっくりしたのと三成に迷惑を掛けてはいけないという気持ちから彼の言葉に素直に応えた。
「気付いていたというか、そういう話は耳にしました」
「三成は何度も城にあんたを連れてくるように言われているのを何かと理由をつけて断ってきた」
「はい」
頷きながらも知らなかった事実に少し驚いた。
何度も断るなんて普通なら出来ないはずなのに、どうしてそんな無理をしたんだろう。
嬉しさ半分、心配半分の複雑な気持ちになった。
「でも、それは私の体調を考慮してくれてのことだと思います」
「それもあるだろう」
「それだけです」
きっぱり言い放つ私に清正はまた深くため息を吐き出した。