勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「鈍い女も可愛いのかもしれないが心配ではあるな」
ため息混じりの清正の言葉の意味がわからない。
「今日のことで三成はあんたを城に行かせることを承諾することになるだろう」
「どうしてそんなにお城に行かせたくないのか私にはわかりません」
「そんなあんただから心配なのだろうな」
「私が何か粗相すると思っているのでしょうね」
「そんなことよりももっと深い意味で心配しているのだろう」
「これから紅葉さんたちとまた特訓します。三成様の奥として恥ずかしくないように色々と足りないところは学んでいくしかありません」
これ以上三成に迷惑も心労も掛けたくない。
だったら努力するしかない!!
「清正様、ありがとうございます。教えていただかなければきっと私は気付くことは出来なかったと思います」
「三成の心労がよくわかる」
「本当に三成様には申し訳ないと思っています」
「そうではない...」
「はい?」
「あんたが考えてるような簡単な話ではない」
「それは?」
「でも、それもおもしろいのかもしれないな」
フッと笑って応える清正。
その表情は良君を思い出させる。
彼がいつも優しく笑う表情にそっくりだった。
「あなたはとても私の知り合いに似ています」
「良君というやからか?」
最初に逢ったとき一度だけ口にした名前なのによく覚えているなと感心してしまう。