勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「いつの日かわかり合える日が来るのだろうか」
私の言葉に少しだけでも耳を傾けてくれる清正が悪い人だとも思えなかった。
「はい、きっと...いつか」
ニッコリと微笑みを浮かべながら応える私から視線を逸らす清正。
「あんた、今日初めて笑ったな」
そんな言葉を残して立ち上がった清正は、そのまま部屋を出て行こうとする。
「あの、どちらへ?」
「帰る」
「何かお気に障ることでもありましたか?」
生意気なことを言ってしまったのだから気を悪くしているのは当然だと思いながら言葉を掛けると
「俺がここに残ったのは秀吉様にあんたに城に来るように説得するよう言われていたからだ」
素っ気なく応えてくれた。
そして部屋を出てから一度振り返り、
「伝えることは伝えた。後は三成と相談して決めればいい」
そう言ってスタスタと歩き始めた。
「お待ちください」
呼び止める私に振り向きもせず片手を挙げてヒラヒラと振りながら清正は足を進めた。
「お見送りを...」
そう言ってついて行こうとする私を遮るのは朱里さんで、いつの間にか私の側にいた彼女は清正の後ろを静々と歩いてついて行った。
そうなると私は出番はなく、朱里さん同様音もなく現れた桔梗さんに腕をとられて部屋の中に連れて行かれた。