勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
向かい合いように座る桔梗さんと私。
「重家は?」
「菊さんが寝かしつけてくれました」
「そう...三成様は?」
「殿もお部屋で休んでおります」
「一人で?」
「はい、紫衣様をお待ちです」
「では、すぐに...」
言葉を遮るように桔梗さんは話し出す。
「それよりも、加藤様と何を話したのか教えていただけますか?」
「話?」
「どんな会話をされたのですか?」
なんだか少し口調の厳しい桔梗さんにすぐに言葉が出てこない。
「三成とどんな風に出会ったのかとか、どう思っているのかと言うことを話したけど」
いけなかったのかな?
三成の話をしてはいけないなんて聞いてないけど、そもそも清正と接触をするなと言われていたのだから話す内容ではなく話すという行為がいけないのかもしれない。
黙り込む桔梗さんが怒っているのかと気になって心臓がバクバクと忙しく動いている。
「紫衣!!!」
そんなシンと静まりかえった部屋に大きな声で私を呼びながら飛び込んできた紅葉さん。
「な..なな何?」
びっくりして一瞬体がぴょこんと跳ね上がった。
「清正と二人になったんだって!」
絶体絶命というのは今のようのことを言うのかな?
清正に過剰なほど警戒心を持っていた紅葉さんに知られたら怒られるのは必須。
私はがっくりと肩を落とした。