勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
だけど部屋から出るなんてことは許されず私の前には立ちはだかるように椿さんの姿。
「三成様の様子が気になるの。部屋に帰らせたもらいたいんだけど」
口調もとても他人行儀に話しかけると、
「姫様の口調が整ったときは怒ってるときなのですよね」
肩に手を添えながら桔梗さんが話しかけてきた。
そんな分析、今いらないから....。
「怒ってるってわかってるなら通してちょうだい」
「まだ話は終わってない」
ぴしゃりと紅葉さんに言い切られ、私は元の位置に座らされた。
私が立ち上がったことで次に座ったときには最初よりも居心地の悪い状態になっていて、
目の前には紅葉さん、桔梗さんに椿さんが3人横並びに座っている。
さっきまでは紅葉さんの少し後ろに控えるようにして座っていた2人が前に出てきただけなのに、威圧感が増すのはどうして?
3人を目の前にしたら怒りも徐々に静まる...というか少し怖くて怒ってもられないってのが正直なところ。
「言いたいことがあるなら聞くけど?」
そんな私の感情をわかっているかのような紅葉さんの言葉は神経を逆なでする言葉で
「だったら3人横並びになって迫力出さないでよ..」
思わず口から漏れた本音に椿さんがクスリと笑った。
「姫様を別に威圧するつもりはありませんでしたが...」
桔梗さんの言葉にも無性に腹が立つ。
気にならなくなっているとは言っても美形3人と向かい合って対峙するのに緊張するなって方が無理な話で、ましてや普段から勝てない3人に話をするのが嫌だって思うのは当然でしょう?
「言えよ」
私の心の声が聞こえないんだろうね。
紅葉さんの言葉に余計に言葉なんて出なくなるよ。
「姫様、私の話を聞いてくれますか?」
「はい」
桔梗さんの言葉は私への助け船だろうとこくりと首を縦にして頷いた。
「殿はずいぶん追い詰められていました」