勝利の女神になりたいのッ!~第2部~


薬の存在をすっかり忘れていたというよりは最近ずっとサボって飲んでいなかったから手渡されたんだろう。


「もしかして飲んでなかったのバレてたの?」


「当然です」


おずおずと訪ねる私にきっぱりと答える桔梗さん。


そっかバレてたのか...。


「でも授乳中はお薬がおっぱいから出ちゃうんじゃないの?」


「重家様がお飲みになっても大丈夫な薬ですので紫衣様がお飲みになったからといっても特に問題はありませんよ」


苦し紛れの言い訳も椿さんにニッコリと否定されて私はガックリと肩を落とすしかなかった。


「何を言っても無駄なんだよ」


容赦のない言葉を掛けるのはやっぱりな紅葉さんで、だけど彼の掌には花饅頭がのせられている。


その花饅頭を私に差し出しながら紅葉さんは言ったんだ。


「ご褒美がないと薬一つ飲めない女のどこがいいんだか...」


そんなあきれた口調の紅葉さんだけど、これも紅葉さんの照れ隠し。


「ありがとう紅葉さん」


私は花饅頭を受け取って笑顔で言葉を掛けた。


それからのやり取りは穏やかで、秀吉の魂胆を三成も見抜き逃げられないと悟っているというような話をした。


だから次に秀吉に私を城に連れてくるように言われたら首を縦に振るだろうとも話をした。


その日が近いのか、少し間があるのかはわからない。


でも秀吉の性格上きっとそう遠くない話だということも思った。


「それにしても清正がそんなことを言うのは信じがたい」


「どうして?」


「殿に対するアイツの態度をみていたら不思議に思うのは当然だが」


「そんなに仲が悪いの?」


「あぁ、何かにつけ殿に絡んでくる」


「どんな風に?」


「頭が固いだとか、なんとか...」


紅葉さんはとっても清正が嫌いなのか顔を歪めながら話してくれた。


でも紅葉さんの話からすると三成に絡むのは三成を認めた上で自分にないものを持ってる三成をやっかんでいるようにしか聞こえない。


「それって清正が三成様の実力を認めてるって言ってるようなものじゃない」










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