勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
その後は薬を飲んで、ご褒美の花饅頭を食べながらお茶を飲み、談笑していた。
「紫衣、殿がお部屋でお待ちですよ」
そう言って部屋に入ってきた朱里さんの登場までは楽しい時間を過ごすことが出来た。
忘れていたわけじゃないけど妻失格だよね?
具合を悪くした三成のところにすぐに駆けつけないなんて...。
「すぐに行きます」
重家は一度眠っちゃうと目を覚ますことはないお利口さんだけど気にならないわけじゃない。
それなのに話に夢中になってしまって母親としても失格だよ...。
そんな考えが表情に出ていたのだろう
「重家様も三成様もさっきまでぐっすり眠っておられました。重家様は今も眠っておられますよ」
朱里さんが気を使ったのか教えてくれて私は三成の待つ部屋に向かうために部屋を出た。
「遅くなって申し訳ありません」
部屋に着くと三成は布団の上ではなく机に向かって何かを書いていた。
振り向く三成に座ったまま床に手をついて頭を下げる。
お客様が帰った後すぐに戻らなかったということに胸が苦しくなる。
そんな私に近づいてきた三成。
頭をゆるゆると撫でながら
「宴は楽しかったか?」
微笑みを浮かべて訪ねてきた。
「はい、緊張しましたけど」
これは本当の気持ち。
凄く緊張したけど宴を開いて良かったって思う。
清正の気持ちを聞けたことも良かったって思う。
まだ溝は深くないんだって、そう思えたから。
「すまなかった」