勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
怖さと不安で俯いたまま何も言えない私。
三成を不愉快にさせて彼の怒りに触れてしまったのかな?
もしかしたら妻をやめさせられちゃうかもしれない。
もういらないって言われたら...
妻としてじゃなくても女中としてでもここにおいてもらいたい。
不安いっぱいの私の心の中は負の連鎖が続く。
重家のことを重家様って呼ばなきゃならないのかな?
三成の腕が私じゃない他の人を支えるように抱きしめる姿を見なきゃダメなのかな?
嫌ッ!!
そんなの耐えられない!!
「紫衣」
三成に呼ばれて肩が自然に跳ね上がった。
怖い!!
「ごめんなさい。本当にごめんなさい。でもあなたが他の人を抱きしめるのは嫌!!そんなの耐えられない!!それでも側を離れることなんて出来ないからここに、女中としてでもおいて欲しいけど....でも見たくない!!悲しくて見れないよ....」
俯いたまま首を横に振って言葉を紡ぐ私の頬を伝う涙は床にぽたぽたと水たまりを作っていく。
俯いたままだから三成がどんな表情をしているのかが見えなくて、もしかしたら困らせちゃってるのかなって不安が募る。
それでも怖くて顔を上げることなんて出来ないでいた。
「紫衣」
そういって何度も私の名前を呼んでくれる三成。
きっと優しい彼は私が落ち着いて顔を上げるのを根気よく待ってくれている。
そう思っても怖いものは怖い。
「紫衣、俺を見ろ」
そういって三成の手が私の両肩に置かれたときに覚悟を決めたように私は顔を上げることが出来た。