勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
目の前には眉をハの字に下げて困ったような表情の三成の姿。
やっぱり困らせていたんだって思うと必死で止めた涙がまた溢れてきた。
はらはらと雨が降るように落ちる涙を止めたいのに止められない。
泣いちゃうともっと困らせるってわかっているのに...。
「ご...ごめ..なさ...」
困らせてごめんなさいって謝りたいのに喉をせり上がってくる嗚咽に邪魔されて言葉もまともに紡げない。
そんな私をギュッと抱きしめて大きく息を吐き出す三成。
彼の腕の中はとてもあたたかい。
その腕に他の人が包まれることを思うと切なくなって胸が苦しくなった。
「紫衣はまた何を想像して泣いているのだ?」
よからぬことを考えているのだろうって困ったように言葉を掛けてくれる三成。
「私はもういらないって...」
だから自分のとらわれてる思考をそのまま言葉にすると盛大なため息共に
「誰がそんなことを言った?」
そう聞かれた。
「それは三成様が今から私に言うのではないのですか?」
「だからそれが紫衣の逞しい想像だと言ってるんだが」
「でも出過ぎた真似をする私なんて妻として相応しくないと...」
「俺が言ったか?」
「はい」
「俺の口から聞いたというのか?」
「.......」
「想像力が逞しいとさっきから言ってるであろう?」
「.......」
確かに言われたわけじゃない。