勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「おめでとうございます。立派な男の子ですよ。お世継ぎの誕生です。」
肩で息をする私に掛けられる声。
オギャーという元気な泣き声と共に興奮した様子で早口で伝えられた。
「見たいよ…――。
………見せて、赤ちゃん……………見たい。」
起きあがろうとしても動かない体。
下半身がまるで自分のものじゃないみたいだ。
それに下腹部がズキズキと痛み、顔を歪めてしまった。
「動いてはいけません。」
忙しく動き回る人達は私の心配はしてくれず、赤ちゃんのお世話とお産の片付けの手を休めない。
なんだか放置されてるみたいで寂しい…。
それに不満だ。
赤ちゃんを生んだのは私だもん。
早く見たい!
普通片付けよりも母子の対面を優先しないものなの?
「朱里さん!しゅーりーさーんー。朱理さんはいないの?」
あまりの放置にたまりかねた私は朱理さんの名前を呼んだ。
だけど朱理さんの返事はなく、
「赤ちゃん見たいよ。」
わたしはポツリと呟いた。