勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「どうした?」
優しい佐和さんの問いかけに我慢していた涙が溢れてしまって見られたくない一心で彼の胸の中に飛び込んだ。
ずっと触れたかった。
「ぎゅってしてください」
震える声で告げて彼の胸元のシャツをギュッと握りこむ私。
このまま別々に寝るのなんて嫌。
佐和さんを側に感じていたい。
心の中では素直な気持ちが溢れてくるのに言葉になって出てこない。
でもそれじゃいけないんだってわかってる。
私の背中に腕をまわしてぎゅっと抱きよせてくれる佐和さんに誤解させたままじゃいけない。
大きく息を吸って彼の胸の中から顔を上げた。
恥ずかしいって気持ちだけで誤解させてしまったことをまずは謝りたい。
すぅーっと胸が軽くなる。
「佐和さん、聞いてほしいの。ダメなのは私でも佐和さんでもなくて...」
変な言い方になったけど正直な気持ちだから仕方がない。
本当にダメなのは恥ずかしがる私だってわかっているけど、そこは棚の上にしっかり置かせてもらった。
「何がダメなんだ?」
言葉をきってしまったから当然佐和さんは困惑顔で私に尋ねる。
「ダメなのは芽衣ちゃんです。」
「はぁ?」
驚く佐和さん。
それも当然だと思う。
だけど普段着ているパジャマを荷物に入れてくれていたら、こんなことにはならなかったと思う。
かなり苦しい責任転換だけど、そう思うことにした。
だって芽衣ちゃんと嶋田さんは私と佐和さんをからかって遊ぶ傾向があるっていくら鈍感な私でもわかっちゃってるんだから!