勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
結局肝心な言葉を口に出来ないまま俯く私をぎゅうっと抱きしめる佐和さん。
「紫衣は何故幸せになってはいけないんだ?」
そんな事、三成は望んじゃいないって佐和さんの言葉に私は、それでも首を横に振った。
幸せになってはいけないって、言葉にできない私は弱い。
自分のことを考え、優先しようとする弱い人間なんだ。
そう思うと、やっぱり苦しくて…
そんな私だから、幸せを望むなんていけないんだって思う。
お兄ちゃん、お姉ちゃん――。
紫衣も本当は2人のように愛し、愛され生きていきたいって望みを抱く弱い人間なの。
佐和さんを愛してる。
佐和さんに愛されたい。
そう望まずにいられない弱い人間なの。
「紫衣、愛してるよ。昨晩の夜を思い出してごらん」
溢れる涙を拭いながら、佐和さんに話しかけられた。
「とても綺麗だった」
流れ落ちる涙に唇を寄せる佐和さん。
「思い出して…2人が一つになった時間を…」
佐和さんの言葉に引き込まれそうになるのをこらえて首を横に振る。
いけない…。
いけないんだよ。
幸せになるために来たのではない。
闇を抱え、後悔と懺悔の思いを抱く人を救いたくてここへ来た。
本来の目的を見失ってはいけないんだよ。
佐和さんの言葉に揺さぶられる気持ちを封じ込めるように頑なに首を降り続けた。