勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
幸せを感じても後ろめたさは感じたことはなかった。
けれど、私は気付いてしまった。
私の弱さがそうさせていたことに。
感じないように瞳を伏せていたことに気付いてしまった。
佐和さんと繋がり、一つになった時に感じた幸せ。
余りに甘く、そしてあたたかく優しい、その裏で影のように私にかかる罪悪感。
それが私の弱さを浮き彫りにした。
この先、私はきっと自分の幸せのためだけに生きてしまうのではないかという不安。
佐和さんさえいてくれれば、他に何も望まないと強く思ってしまう自分の心が恐怖になって落ちてくる。
許されない感情を持つことが怖い。
自分が自分でなくなってしまうようで怖いんだ。
それを証拠に昨夜は良君に対する恐怖をすっかり忘れてしまっていた。
彼が戦国への道を探し、紫衣への強すぎる執着に対する思いを忘れることなど普通なら出来るはずのないこと。
それなのに熱に浮かされた私は、その恐怖心を一時にせよ感じることなく忘れ果てていた。
これを不実と言わず何というのか。
不実以外の言葉は当てはまらない。
醜い自分を知られたら、佐和さんや芽衣ちゃんに幻滅されるのではないかという恐怖にも包まれた。
けれど、その恐怖さえ自分を守りたいが故に生まれてくるものだと思うと
「どこまで私は自分勝手なんだろう」
どうしようもない自分に呆れてポツリ、言葉が自然と零れ落ちた。