勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
ポロポロと零れ落ちる涙は佐和さんの唇に吸い取られ、震える体は佐和さんの腕のぬくもりに包まれている。
幸せって何?
昨日の夜は本当に幸せだった。
私の望みは一体何?
ここに来たのは救いたい人がいたから、ただただその一心しかなかった。
新たな望みが本来の望みよりも大きくなるなんていけないことなのに、私は佐和さんとの幸せを強く望んでしまう。
心が彼と一緒に生きていきたいと震えている。
いけないことなのに…
望みを捨てられない。
「紫衣、少し昔話をしようか」
ただ何も言えず涙を流す私に紡がれた佐和さんの言葉。
声を出せない私は佐和さんの言葉にただ頷いた。
心地よい佐和さんの声に少しずつ涙は止まり、彼の声に集中する私。
「いい子だ、紫衣は…」
ベッドの上で体を密着させながら聞く佐和さんの甘い声。
優しく声を掛けられながら頭を撫でる佐和さんの掌のぬくもりに恐怖心が和らいだ。
懐かしく思える、その行動に私はぎゅっと心臓を掴まれたかのような痛みを感じた。
「佐和さん、どうして?」