勝利の女神になりたいのッ!~第2部~


昔話と言った佐和さん。

だけど、今の行動や言葉は、あの不思議な世界での私を慰め、落ち着かせるときのお兄ちゃんの行動。


誰も知らない二人だけの世界でのやり取りだった。


どうして佐和さんが同じ言葉と同じ行動で私を落ち着かせることが出来るの?


「紫衣、三成に聞いたんだ。」


俺や紫衣、そして戦国へ行った紫衣も知らない事実をと続く佐和さんの言葉にゴクリと唾を飲み込む私。


まだ知らなかったことがあったの?


興味を惹かれる気持ちと恐ろしいという恐怖心が入り混じる複雑な気持ち。


「昔話と言っただろう?」


怖がらなくていいんだよと私を包む腕の力を強める佐和さん。


「聞いてくれるか?」


規則正しく落ち着いたリズムを刻む佐和さんの胸の音を聞きながら、きっと悪い話ではないと自分に言い聞かせて私はこくりと頷くことで佐和さんに答えた。






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