勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
私はお姉ちゃんと入れ替わらなくても三成と出逢う運命だった。
けれどそれは水害からずっと先の話。
「あの水害で紫衣はひとりぼっちになったんだ。そして、そんな紫衣を見つけたのが三成の側近である島左近」
左近様に拾われ教育を受けた私は下働きの侍女としてお城で働いていた。
そして、三成に出逢った。
「戦国時代には珍しく愛妻家と呼ばれる三成が唯一妻以外に興味を示したのが紫衣なんだよ。」
こんな話を俺と紫衣がすることも不思議だし、ちょっと不愉快なんだけどと眉を歪める佐和さん。
「お姉ちゃんは?お姉ちゃんもお城で働いているの?」
以前水面に映し出された二人の姿には主従関係など見て取れなかった。
寄り添う二人の姿は愛し合う夫婦にしか見えなかったんだ。
「それが変わってしまった歴史。左近が変えたかった歴史の一つだそうだ」
「変わった?」
「そうだ。三成の妻は実在しなかった。」
「え?」
「太閤秀吉の側室になっていたらしい。」
これも定かではない歴史だが、三成から聞いたと佐和さんは話してくれた。
世継ぎに恵まれなかった秀吉に三成の妻は子供を産んだという実績を買われて側室入りした。
愛する妻を絶対的君主に奪われた三成。
その後、彼の妻は存在するものの実在はしていなかった。
「だから左近は三成と紫衣の出逢いを早めたかったんだ。そうすることで三成の妻も秀吉の側室に入ることが早まる。そして三成は一生の伴侶を持つことが出来ると考えたのだろうな」
だから水害で紫衣が三成の魂に逢うことがない歴史をねじ曲げたんだと思うと佐和さんは俯きながら話をしてくれた。
けれどそれは水害からずっと先の話。
「あの水害で紫衣はひとりぼっちになったんだ。そして、そんな紫衣を見つけたのが三成の側近である島左近」
左近様に拾われ教育を受けた私は下働きの侍女としてお城で働いていた。
そして、三成に出逢った。
「戦国時代には珍しく愛妻家と呼ばれる三成が唯一妻以外に興味を示したのが紫衣なんだよ。」
こんな話を俺と紫衣がすることも不思議だし、ちょっと不愉快なんだけどと眉を歪める佐和さん。
「お姉ちゃんは?お姉ちゃんもお城で働いているの?」
以前水面に映し出された二人の姿には主従関係など見て取れなかった。
寄り添う二人の姿は愛し合う夫婦にしか見えなかったんだ。
「それが変わってしまった歴史。左近が変えたかった歴史の一つだそうだ」
「変わった?」
「そうだ。三成の妻は実在しなかった。」
「え?」
「太閤秀吉の側室になっていたらしい。」
これも定かではない歴史だが、三成から聞いたと佐和さんは話してくれた。
世継ぎに恵まれなかった秀吉に三成の妻は子供を産んだという実績を買われて側室入りした。
愛する妻を絶対的君主に奪われた三成。
その後、彼の妻は存在するものの実在はしていなかった。
「だから左近は三成と紫衣の出逢いを早めたかったんだ。そうすることで三成の妻も秀吉の側室に入ることが早まる。そして三成は一生の伴侶を持つことが出来ると考えたのだろうな」
だから水害で紫衣が三成の魂に逢うことがない歴史をねじ曲げたんだと思うと佐和さんは俯きながら話をしてくれた。