勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「私が生きていたら歴史は変わらなかったのですね」
「でも紫衣は死ななかっただろう?」
「はい」
「主のためとはいえ紫衣の命を自らの手で左右することなど左近には出来なかったんだろうな」
「はい」
「だから俺とも出逢えた」
「はい」
「紫衣が三成の気持ちを一番に考えていたから、現代に生きる紫衣とも結びつく事が出来た」
そのことは左近にとっても大きく嬉しい誤算だろうなと微笑む佐和さん。
「魂になってもお兄ちゃんのことを考えてくれる人がいたのは私も嬉しいです」
あの不思議な世界でお兄ちゃんの側にいた人が左近様。
寄り添うように従い、お兄ちゃんの魂を支え続けてくれた人。
左近様がいたから私はここにいる。
左近様がいたからお兄ちゃんとお姉ちゃんは出逢った。
「全て左近様の魂のお陰ですね」
そう言った私を佐和さんは眩しいものを見るように目を細めて見つめる。
そして私の髪を掬うように指に絡め、唇に寄せた。
とても妖艶なその姿に私は顔が熱くなるのを感じた。
とても色っぽい佐和さん。
ドキドキと煩い胸の音だけが私の耳に残る。