勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「本当に紫衣には驚かされてばかりだな」
そんな佐和さんの言葉と同時に掴まれた腕。
そしてそのまま引き寄せられた私は力に抗うことなく佐和さんの胸の中にすっぽりとおさまった。
「本当なら感謝ではなく恨むのではないのか?」
佐和さんの胸の中でくぐもった声を聞く。
恨む?
誰が誰を?
佐和さんの言葉の意味がわからない私は彼の胸を押して、いったん彼から体を離した。
彼を見つめながらもきょとんとしたまま首を傾げる。
そんな私に佐和さんはふっと息を抜いたように笑ってから、もう一度私を引き寄せて、その胸に閉じ込めた。
「自分の運命を人に変えられたことを恨まず、ただ三成のことを考える純粋な紫衣が俺は好きだよ」
ぎゅっと私を抱きしめる佐和さんの腕。
でも、妬けるなって小さな呟きに胸が高鳴った。
私が恨むはずなんてない。
だって、とても幸せだから…
その言葉を口にする前に佐和さんの唇に塞がれた。
「ふっ…んん…」
優しいとろけそうな口づけに息が上がる。
「俺は感謝してもしきれないな」
唇が離れてすぐに佐和さんに見つめられたまま落ちてきた言葉。
「わ…わた…しも」
息が苦しくて、胸がいっぱいで言葉になってない言葉を伝えた。
「だったら紫衣は何も考えることはない」
そうだろ?って私の瞳をのぞき込むように見つめる佐和さん。