勝利の女神になりたいのッ!~第2部~


ベビードール姿でベッドの上に立ち上がる私。


「いい眺めだな」


唇の端を少しだけ持ち上げて言葉を紡ぐ佐和さん。


「え…――…きゃっ」


下着が透けて見えるほどのすけすけベビードール姿だというのをすっかり忘れていた私は慌てて掛け布団にくるまるようにして体を隠した。


出発を遅らせてしまうほど眠ってしまったのかという心配も状況を把握しなくちゃという気持ちも全て吹っ飛ぶほどの衝撃。


やっぱりベビードールなんて着なきゃよかったよ。


とても可愛いけど部屋で一人で楽しむべきだった。


昨夜どうして浴衣を身につけずにベビードールだけで眠ってしまったのか。


衝撃が大きすぎて思考が定まらないよ。


「そんなサービスしてもらったら俺も紫衣にサービスしなきゃいけないな」


唇をつり上げる佐和さんのたっぷりとって言葉にカァーっと顔が熱くなる。


顔を真っ赤にしたまま動けない私に近付く佐和さん。


もしかして…


今からまた?


「さ…佐和さん、あの…そのですね。私…えっと…その…無理です」


「何が?」


「だから、無理なんです」


「ん?何が無理なんだ?」


目の前で妖艶に微笑む佐和さん。


俯く私の顎に指を添えてくいっと持ち上げる。


「何が無理?」


目を合わせたまま至近距離で問われた私は首をぶんぶんと横に振るのが精一杯で、


「紫衣?」


私の瞳をのぞき込むように視線を絡ませる佐和さんの余裕綽々な状態に何故だかぶわっと涙が溢れ出た。


「ちょっとからかいすぎたかな」


混乱して泣き出す私をぎゅうっと抱きしめる佐和さん。


からいすぎた?





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