勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「さすがは芽衣ちゃんだな」
紫衣の考えは全てお見通しってわけだと楽しそうに話す佐和さん。
「どういうことでしょうか」
会話の内容すら聞いていないのに納得する佐和さんに未だ思考がついていかない私は質問をするしかなく
「そのままだけど?」
それなのに佐和さんはにっこりと微笑みながら教えてくれる気はなさそうで、仕方なく私は芽衣ちゃんに一方的に告げられた言葉を思い返す。
「今、急いで準備してるでしょ?」
「私達に申し訳ないとか思ってる?」
「そういうの必要ないから!」
「こっちは2人っきりで逆に楽しいくらいだし」
「来なくていいんだからね!むしろ邪魔しないでって感じ!」
「わかったわね!」
芽衣ちゃんに言われた言葉達。
むしろ邪魔?
その言葉が頭の中をグルグルと回っている。
私、芽衣ちゃんの邪魔なのかな?
何か怒らせるようなことをしちゃったのかな?
考えれば考えるほど悲しくなってじわりと瞳が潤むのがわかった。
「紫衣?」
そんな私の考えもお見通しなのか、佐和さんは微笑みながら私に手を差し伸べてくれる。
「佐和さん、私…芽衣ちゃんに嫌われちゃった…」
言葉にすると更に胸をぎゅっと締め付けるような痛みと共に溢れ出す涙。
ぽろぽろと零れ落ちる涙を佐和さんは指で拭いながら私を抱き寄せた。
「逆だよ。芽衣ちゃんは紫衣が無理しないように心配して電話をくれたんだ」
「でも、邪魔って…」
「それも本当に思って言ったんじゃない」
「だけど…」
「紫衣が芽衣ちゃん達に気を使って無理をするんじゃないかって心配して、敢えてキツい言葉を使ったんだよ」
「どうして?」
佐和さんにはわかるのかな?
私には芽衣ちゃんの考えなんて電話でわからなかったのに。