勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「昨夜のことは話してないけど、芽衣ちゃんにはわかったんだろうな」
昨夜のこと?
昨夜昨夜と記憶を巡らせると思い浮かぶのは佐和さんの熱い吐息。
瞬時に熱が頬に集まる。
昨夜、ベッドの中で…
「紫衣、思い出してるのか?」
顔が真っ赤だよって言いながら私の頬に指を滑らせる佐和さん。
思い出すも何も夢中だったから記憶は白いベールが掛けられたように鮮明ではないけれど、手が佐和さんの滑らかな肌の感触を覚えている。
耳が彼の甘い吐息を覚えている。
私の体中が彼の熱を覚えている。
顔にカッと熱が集まるのがわかる。
昨夜のことを思い出したことも、思い出したことを佐和さんに言い当てられたことも、その思い出した内容も全てが恥ずかしく、火照りが集まっている頬を両手で包むように隠した。
佐和さんに私はいやらしい女だと思われたかも知れない。
さっきも無理だなんて期待していたような言葉を出しちゃったし…
恥ずかしすぎる…
頬を両手で覆い隠したまま更に下を向いて、なるべく佐和さんの視界に映らないようにしたけれど
「無駄だよ」
隠さずに全部見せるんだって言いながら私の頬の上の両手に佐和さんの大きな両手が重なった。
その瞬間に交わる視線。
昨夜、ベッドの上で見つめ合った時のような熱い視線に頬だけではなく体中が熱を持つ。
無理無理無理
もう駄目!
「もう許して下さい」
恥ずかしさなのか何なのかわからないけれど、感情が高ぶって苦しくてわけのわからない言葉を口走ってしまう私。
佐和さんは、そんな私の額に唇を寄せて、そっと口づけをすると
「今日は、部屋でゆっくりと過ごそうな」
部屋からは一歩も出ずに、誰にも逢わずに二人だけで過ごしたいんだと甘く囁いて私を抱き上げた。