勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
「で?清正の名前を譫言で呼ぶってどういうことなんだ?」
目が覚めてというか、厳密に言うと叩き起こされた私は布団の横で何故か正座して俯いている。
そんな私の前にどかりと偉そ気に腰を下ろす人物は毎度お馴染みの3人衆と言いたいところだけど、紅葉さん1人。
眉間には立派に深く刻まれた皺が寄り、大きなおめめが、これでもかという位につり上がっている。
「どういうことかと聞いてるんだ」
床をバンッと叩きながら俯く私を怒鳴りつける紅葉さん。
確かに清正の名前を寝言で呼んでるなんて三成の忠臣である紅葉さんからしたら面白くないのはわかる。
わかるよ。
わかるけど…
「怒鳴らないでよ!」
怒鳴られるようなことなの?
「説明しろって言ってるんだ!」
ギロリと私を睨みつける紅葉さんに私も負けじと目力を込めて視線を返す。
お互いに何とも…
人相がよろしくない。
それに今の私はすこぶる機嫌が悪い。
不思議な夢を見たからどっぷり疲れていたはずなのに眠りは浅い。
その上、叩き起こされて機嫌が悪くならない人はいないはず。
いたらお目にかかりたいわ!と心の中で呟く。
睨み合いが続く部屋に立ち込める重い空気に思わずため息を零した。