勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
視線が絡んでバチバチと火花が散る。
あーっもうッッ!
いったい何なの?
本当に意味がわからない。
「清正と何かあったのか?」
さっきよりは若干柔らかく訪ねる紅葉さん。
珍しく紅葉さんが先に折れたことに驚きを感じずにいられなかった。
「清正さんと何かがあるわけないでしょ」
なのに私は感情のコントロールがうまくできなくてツンツンと言葉を返してしまう。
「あの日、清正と2人だけになった…宴の時に…その…」
いつも強気な紅葉さんがごにょごにょと話しかけるから、さすがに私の怒りもしぼんできて。
「夢を見たのは何かがあったからじゃないの。」
良君と清正が似ていることから夢の内容まで全て話をした。
理解できるかどうかはちょっと心配だけど…
「紅葉さん?」
私の話を聞いて俯いて頭を抱えだした紅葉さん。
やっぱり理解できなかったのかなって思いながら彼の肩をポンポンと叩きながら呼びかけると
「そればマズいだろう…」
やけに深刻な紅葉さんが言葉を落とす。
マズい?
それはどういうことかと私が頭を捻る番で。
「マズいって何が?」
尋ねるけれど返ってきたのは深い深いため息だった。
戦国では夢を見るのはいけないことなのか?
夢に男の人の登場がダメだというしきたりがあるとか?
いったい何がいけないのかさっぱりわからない。
「紫衣!」
向かい合う私の肩を両手で掴んで視線を合わせる紅葉さん。
やけに真剣なその表情に掴まれた肩がびくりと跳ね上がった。
「その良君とやらはどこにいる」
「………」
「逢いたいか?」
「逢いたくない」
「殿の耳に入る前に何とかせねば!」
「はい?」
「そいつの居場所を教えろ!」
「………」
「俺が逢ってくる」
「(無理だよ、絶対に逢えるわけがない)」
「それとも…まだ…」
「まだ、何?」
「その…なんだ…紫衣は殿よりそいつの方が…」
「好きじゃない!」
「ではそいつの居場所を教えろ!」
「(地名を言ってもわからないと思うよ?)」
「俺が逢ってきてやる!逢って話をつけてくる!」
「(だから逢えないんだってば!)」
「教えろ!紫衣!」