勝利の女神になりたいのッ!~第2部~


「今のやつれた紫衣様を殿がなんと思うか考えたことはないのですか?」

「三成様が?」


「はい。」



三成は優しい人。



「彼は私を見て辛いのかしら。」


「何も仰いませんが、きっとそうだと思います。」


「そう…。」


「だから昼間は少しぐっすりと眠りについて頂きたいのです。」


椿さんは私の前に薬を差し出したまま言葉を落とす。


「朱里が紫衣様の代わりに重家様のお世話ができます。
だから眠って下さい。
そして食べて下さい。
そうでなければ殿の顔が立ちません。」


少し大袈裟な椿さんの話にビックリしていると、

「近くこの屋敷で重家様誕生のお祝いの宴を開かなければなりません。
加藤清正様から殿は何度も宴の話を持ちかけられ、ずっと殿は断ってきたのです。
ですが、断り続けていると…。」


ただでさえ良い関係とは言えない二人がもっと険悪になってしまう?








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