勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
すっかり放置された私はうとうとと眠りに誘われていた。
陣痛が起きてから出産にいたるまでの長丁場。
痛みと戦った体は疲れきっていた。
「紫衣…。起きて下さいまし。」
ふわふわと気持ち良く眠りに落ちようとする体を揺さぶられ、
「眠い…眠りたい。」
抵抗を試みたけど私の腕の中に何かが押し込まれ、オギャーと耳をつんざくような鳴き声を上げた。
「え?」
一気に目が覚めた私はそっと腕を巻きつけて抱き寄せる。
視線を向けると産湯につかり、着物を着せてもらった赤ちゃんが元気に手足をばたつかせて泣いていた。
「お待たせしました。」
ニッコリと笑っている朱理さん。
一人では重い体を起こすことが出来なくて、彼女に支えられるようにして起こしてもらい、初めて我が子を腕に抱いた。
小さくて、だけど元気な男の子。
「はじめまして、私がママだよ。」