勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
だけど、そんなことはあるわけがなくて、
みんなの座る茣蓙の隣の木の下に材木で組まれた台が用意されていて、
「ボーっとするな。」
やっぱり何故か不機嫌な三成に手を引かれて台の上にあがった。
台の上には重家を寝かせるための小さな布団も用意されている。
重家は紅葉さんに連れられて布団の上に寝かされた。
そして紅葉さんは重家の布団から離れて私と三成の側に来て、私にだけ聞こえるような小さな声で囁いたんだ。
「殿の機嫌を損ねた理由は紫衣の言葉と態度だよ。」
え?
私の言葉と態度が三成を不機嫌にさせたの?
驚きを隠せない私を見てくすりと笑いを落として去っていく紅葉さん。
肩の震えを見ると相当笑いを堪えているのが伺えた。
なんだかちょっぴり悔しくて紅葉さんの背中を睨みつけていると、
「紅葉に熱い視線を向けるでない!」
何を誤解したのかと尋ねたくなるような言葉を口にする三成。
もう、眉間の皺が深くて深くて…。
笑いが込み上げて、不謹慎だと思うから堪えたけど、
「ぷっ…――。」
笑ってしまったんだ。
笑っちゃダメって思えば思うほど込み上げてくる笑いは治まらない。
緊迫してるからこそ何故だか可笑しくて笑ってしまった。