勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
だけど三成はやっぱり不機嫌なまま私から視線を逸らしてしまう。
「三成様?」
もしかして生意気過ぎたかなって私は急に不安になって彼の名前を呼んだ。
だけど三成は私の言葉には何も応えずに立ち上がり、
「皆、構わず始めてくれ。」
茣蓙に綺麗に並んで座る左近さん達に声を掛けて三成も膳の前に腰を下ろした。
もしかして私のこと目に入ってない?
もしかしなくても今スルーされたよね?
なんか…
悲しいよ。
それに、私達をお構いなしに楽しそうに談笑しながら食事を始めるみんなにちょっぴり寂しくなった。
やっと庭に出れたのに、やっと軟禁生活が終わったのに、
「こんなのってないよ。」
口から零れ落ちた言葉は弱々しく声も掠れていた。
だから聞こえてないって思ってた。
ほんの少ししか離れてないみんなの場所から聞こえる楽しそうな声に消されてるって思ってたんだ。
「紫衣、座れ。」
三成の言葉に従い彼の隣に腰をおろした私に、
「ないとはどういうことなのだ?
俺がいてはいけないのか?紫衣が寂しいと思う以上に俺も寂しかったのだよ。」
彼はやっぱり不機嫌なまま話しかけてきた。
「いてはいけないなんて思ってません!
ただビックリして…
それに久々の外に浮かれてて、配慮が出来なかったの。」
普通に考えればわかるのに…。
この場が三成やみんなの私への配慮だってわかるはずなのに、浮かれすぎてて喜べなかった自分が情けなくて恥ずかしい。