勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
腕にのせた手を滑らせて三成の手の上に重ねて指を絡めた。
キュッと指に力を入れると三成も私の手を握り返してくれた。
「もう長く触れてなかった気がします。」
三成を見つめながら口を開く私に、
「俺はずっと我慢していた。」
彼はふいっと横を向いて言葉を落とした。
我慢していたって?
触れるのを我慢していたの?
彼の言葉を考えると、長く私たちは触れ合っていなかった。
重家の世話に追われ、体力を使い果たし毎日ヘトヘトに疲れる日々。
みんなの心配の声を聞き入れず、私は体調が悪いのに重家から離れずに毎日を過ごした。
だから見かねて私から重家を奪うように連れて行ってしまう紅葉さんや朱里さんに布団に寝かされる時間が増えるようになったんだ。
布団に入る時間が増えれば増えるほど、疲れを感じなかった脳が疲れを感じ取るようになり、起き上がれない時間がどんどん増えていった。
だからそんな私の部屋に三成は顔を出すだけで、すぐに出て行ってしまいゆっくり話をする時間も触れ合う時間も無くなっていたんだ。
なんてこと!
重家を中心に私はずっと生活して、三成を遠ざけていたの?
我慢なんて言葉を言わせてしまう私は、
「妻として失格です。」
三成の優しさが重家に向けられると嫉妬し、なのに私は三成をないがしろにしていたなんて…
「妻だけじゃない…母としても失格です。」
みんなに心配をかけ、迷惑もかけ、なんの役にも立たない私なんて
「人間としても失格だよ。」