勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
ポツリポツリと私の唇をわって出てくる言葉。
申し訳ないと思う気持ちと情けないという気持ちが入り混じって胸が苦しくなった。
俯いたまま唇を噛み締める私にそっと手を伸ばす三成。
「そんなに強く噛むと唇が切れてしまうだろ?」
キュッとかたく結んだ私の唇を三成は指で優しくなぞった。
そしてその指で私の顎を持ち上げてのぞき込むように私と視線を合わせる。
「俺は何にでも夢中になれる紫衣を全てに失格だと思ったことはない。」
私の頬に触れながら話す三成に、
「だけど、どんな時でも私はあなたを優先しなければいけないの。
なのに私は…。」
三成をないがしろにしていたんだ。
「重家は一人では何も出来ないのだよ。
その重家の世話に夢中になる紫衣を責めるほど俺は小さな人間ではない。確かに夢中になりすぎて自分の事を考えない紫衣を心配はしていた。
けれど、だからといって紫衣を失格だと思ったことはない一度たりともないのだよ。」
優しい三成の瞳。
優しい言葉。
「私はあなたにもみんなにも甘やかされて、だからこそ気付かなきゃいけないのに甘えるばかり。妻になったのです。
母になったのです。
自覚していなければいけないのに何も出来ないどころか迷惑掛けてばっかりですね。」
頬に触れる三成の手に自分の手を重ねた。
「紫衣はそのままでいい。
そのままの紫衣だから皆も俺もお前に惹かれるのだよ。」
それに紫衣がシッカリしてしまっては紅葉や桔梗がガッカリしてしまうだろ?って三成はニヤリと唇の端を持ち上げて笑った。