勝利の女神になりたいのッ!~第2部~
三成の少し意地悪な笑顔。
それも私の気持ちを楽にするためだってわかってるのよ。
だから私も空気を変えたくて軽口を叩いた。
「あなたもみんなも驚くようなシッカリとした女性になってみせます!
そうしたらあなたは私に興味がなくなるかしら?」
「興味はなくならないだろうな。」
だけど三成の言葉はとっても普通で、
「どうして?」
返ってくる言葉は想像がついたけど、尋ねると
「シッカリするなんて無理だからに決まってるだろ!」
いつの間にか三成の横に立っている紅葉さんが三成の湯のみにお茶をいれながら言葉を落とした。
「紅葉さんに聞いてないじゃない!」
神出鬼没な紅葉さん。
本当にいつもいつも突然現れて会話をさらってくれる。
「紫衣がつまらないこと聞くからだろ!」
「つまらなくない!」
「架空の質問ほどつまらないものはないんだよ!」
「うぅ…」
もっともな紅葉さんの言葉に私は言い返す言葉が見つからない。
そんな私を勝ち誇ったような笑みを浮かべる紅葉さんに唇を噛んで彼から視線を逸らせた。
「俺は何も望んではいない。」
会話が途切れた私と紅葉さんに話しかけたのは三成で、
「望めないのでは?」
沈みかけた私の気持ちが浮き上がる前に紅葉さんの嫌味が落とされた。
ホント、意地悪紅葉は憎ったらしい!
「お茶はもういいから紅葉さんは席にもどりなよ。」
彼を追い払うように言葉を落とす私をニヤリと笑いながら紅葉さんは、
「殿、重家様の御披露目の宴についてですが奥方様には話をされましたか?」
完全に私を無視したまま、妙に改まって三成に話しかけた。