ほっぺた以上くちびる未満
 
その肩をぐっと掴めば、ビクリと小さな身体が跳ねる。


それで、なんとなく分かった。


その“なんとなく”を確信にするため、ボクはそっと白く柔らかなほっぺたに唇を寄せた。


ふに、優しい弾力がボクの唇を押し返す。


そっと唇を離せば、予想通り、耳まで真っ赤に染めたキミの顔が視界を占領した。


……やっぱりなァ。


思わず笑みが浮かぶ。


ほっぺにチューしただけで、そない泣きそうな顔になるなんて。


“慣れてる”なんて、嘘やんな。


大方、男おらんこと馬鹿にされるんが嫌だったか、ボクにヤキモチでも焼かそうとしたんやろ。


なんや、可愛い嘘やないの。


ボクとしたことが、まんまと引っかかってもうた。


ボクを焦らすなんて、なかなかやりよるね。


でも、やっぱり嘘はアカンなァ嘘は。


嘘ついた悪い子ォには、お仕置きが必要やね。


 
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