ほっぺた以上くちびる未満
 
「慣れとるなら、ボクの相手するくらいわけないよなァ?」


こないな具合にちょーっと煽っただけで、すぐに大きい目ェをうるうる揺らす彼女。


「い……加減にして。

久しぶりだからって冗談きつすぎるよ」


そう言って、ボクの腕から必死に逃れようとするから、壁に体重をかけるように深く肘をついて、彼女に覆い被さる。


逃がすわけないやん。


そない一生懸命に逃げられたら、もっとキツいお仕置きしてまうよ?


「冗談やあらへんよ。

可愛い子抱きたい思うんは、男として自然の摂理やん」


耳元でそう呟けば、キミの動きはピタリと止まる。


目を見開いて、真っ赤にほっぺを熟らして、まんざらでもないご様子。


でもすぐに、ふっと泣きそうな顔をする。


「ソレ、どんな気持ちで言ってるの?」口では何も言わへんでも、目がそう言ってる。


どんな気持ち?


決まってるやん、本気やで。


キミのこと、本気で可愛い思てる。


そりゃあもう、どーしょーもないくらいに。


でも、そんなキミを喜ばすようなことは言ってあげへんねん。


お仕置き中やからね。


もっともっと悩みィ。


ボクが一体何考えてるのか、ボクが一体何したいのか、分からへんねやろ?


もっとよく考えや。


ボクのことだけ考えて、頭ん中ボクでいっぱいにすればええねん。


 
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